2023年5月21日日曜日

2023年4月に遊んだゲーム⑦:エヴァーメイデン(PS4版)ネタバレ無し

エヴァーメイデン(PS4版)



販売元:エンターグラム
プラットフォーム:PS4 / Switch
ジャンル:百合ミスティックホラーADV
発売日:2023年4月27日
価格:通常版7,678円(税込み) / DL版7,370円(税込み)

プレイ時間:16時間

公式HP:https://www.entergram.co.jp/ever-maiden/



本作品は元々、ライアーソフトというメーカーから発売された18禁PCゲームとして2022年2月25日に世に出ており、約1年の時を経て非18禁としてCS版が発売されました。

ライアーソフトは過去に「サフィズムの舷窓」「屋上の百合霊さん」という名作の百合ノベルゲーを出しており、百合オタクの私もご多分に漏れずこれらの作品にハマっていました。
「屋上の百合霊さん」から10年振りに、ライアーソフト新作の百合ゲーとして発売されたエヴァーメイデン。
PC版発売の時期の段階で気にはなっていたのですが、当時は
「その綺麗な絵柄でエッチなシーンがあるというのは抵抗がある……!」
などといった理由で敬遠してしまい、購入を保留し続けているうちにまさかのCS版発表となり、それならCS版で遊べば大丈夫だろうと発売日を待つ形となる事に。

公式サイトPVを一通り見た段階の印象だと
「サブタイトルが~堕落の園の乙女たち~だし、"私たちは赦されない"というキャッチコピー。世界観も全体的に†耽美†って感じなんだけど†女同士の禁忌な恋†とか、古典的な百合を繰り出されないか心配だな……」
などと思い、不安な気持ちが入り混じりながらも「百合ゲーでお世話になったライアーソフトの尖った感性を信じろ」の一点でプレイ。

最初に結論から言いますと、これら上記の不安な印象をいい意味で全て蹴散らしてくれました。
綺麗で繊細な表現力を繰り出してくるテキスト、少女の複雑な心を描くのが非常に上手い、大変に魅力的で全員愛着が沸くキャラクター、美しいイラスト、尖りに尖った設定とシナリオ、まさに令和の最前線を行く百合ゲー。
女と女の間で発生する恋愛、愛憎、親愛などなど様々な形の感情のぶつかり合いによる関係性が楽しめて、百合のオタクは大満足。

ジャンルは公式で「百合ミスティックホラーADV」となっていますが
確かに不穏な展開はありつつも、ガッツリ百合作品として楽しめますしホラー、グロ要素も言うほどないので、怖いものに耐性がなくても安心してプレイできます。
個人的には「百合ミステリーSFファンタジーADV」と思わなくもない。

Twitterで自分が構築しているTLでは結構な数の百合オタクをフォローしているはずなのに、エヴァーメイデンについて呟いている人が片手で数えられるくらいしかおらず、この作品あまり浸透していないのでは……と不安になっている今日この頃。
フルプライスでノベルゲームを買う事の抵抗感と、イラストやキャッチコピー、世界観が一見すると今風の百合には見えなさそうという事から注目されていないのではないかなあと……何せ、PC版発売当時の自分がそうだったので。

百合好きにあまり知られていないのが本当にもったいないくらい真剣に女女恋愛の百合をしているし、綿密に練り込まれた物語の構成と繊細な少女の心理描写は本当に素晴らしいので、百合のオタクエヴァーメイデンを買ってほしい。
PS4/Switchで発売した事でやりやすくなりましたし、体験版は1章まるごと収録されている破格のボリュームなので、まずは体験版を遊んで自分に合うゲームか判断してからでもいいので……!

このブログは、自分がいつどんなゲームを遊んでいたのか忘れてしまうのが寂しいという理由で本来は備忘録として記録するのが目的という事もあり、これまで自分の為だけにしか書いていませんでしたが、今回に限ってはエヴァーメイデンの良さが少しでも伝わってくれればいい、1人でも多くやってくれないかという祈りも込めつつ。
少しでも売れて今後の展開に繋がってくれ、エヴァーメイデン。

<以下、ネタバレ無し感想>



■百合だけでない、学園内に隠された謎を解き明かすミステリー要素も魅力





舞台は、俗世から切り離された女学園「プエラリウム」
恋愛が禁じられているなど厳しい校則に縛られ、生徒たちは寮で暮らしながら学園生活を送っています。

ここだけ書けば、よくある「閉鎖的な女学園を舞台にした百合作品」になるでしょうが、本作品にはそこから独自の設定が加わり、壮大な謎に満ち溢れた物語が展開されています。




校門には茨の生えた薔薇が張り巡らされ、学園の外に出る事もかなわず世間から隔絶された閉鎖的な学園。
寮と学園を行き来する生活の中で、全裸で正門前に倒れていた主人公「アルエット」がやって来た事から、物語は始まります。
異端者扱いされていたアルエットは、本来なら追い出される立場になりそうでしたが何やかんやあって学園内の生徒として認められ、学園生活を送る事に。





アルエットを始めとする選ばれし生徒達は「造化術」という花や服、機械などあらゆる物を無から生み出す能力を持ち、一般教養の学問ではなく造化術の技術を日々磨いていく学園という異質な世界観です。

何故、茨が張り巡らされ、外に出る事ができない隔絶された学園となっているのか。
何故、少女達は閉ざされた学園で造化術の技術を学ばされなければいけないのか。
何故、この学園では生徒同士で手を繋ぐレベルの肌の触れ合いが禁じられるほど校則が厳しいのか。
何故、主人公のアルエットは記憶を失い、一糸まとわぬ姿で倒れていたのか。彼女は何者なのか。

あらゆる謎の真相は話を進めていくにつれ解き明かされていき、伏線が回収されていく怒涛の展開はシナリオの面白さとして百合抜きでも十分に魅力的です。
「この世界なんなの!?」という胸中のざわつきが徐々に謎が解き明かされるにつれ、ワクワクしていく感覚は饒舌に尽くしがたいものでした。

……まあ、これらの壮大な謎や真相に迫っていくのも、本質である百合を引き立てるためのスパイスなのですが。


■本質はやっぱり百合。女と女の関係性の描き方が胸に沁みる

女と女のお互いに向けた、感情の機敏な心情の描き方も非常に秀逸です。
心理描写を重点とした表現は百合ジャンルとして非常にシナジーが高く、各キャラクターの恋愛模様がとてもグッときます。

お互いを想い合うからこそすれ違ってしまった2人、正反対の性格で最初は好感度0から始まっていたのに徐々に惹かれ合う2人など、様々なカップリングの物語を描く過程が非常に丁寧で引き込まれること間違いなし。

エヴァーメイデンは公式が固定カプなので、個人的にそこがとてもありがたかったです。
また、様々な愛の形があるのも本作品の魅力。
ドがつくほど生真面目で厳格な規律に従う女が親友への恋愛感情に気付いてしまって苦しむ姿から、好きな女の首を絞める女、他にも色んな形の女女が楽しめるので最高。

学園内では禁忌とされている恋愛も「女同士の恋愛だから禁止」ではなく
「恋愛そのものを禁止」としており、個人的にここが今風で良かったです。


■快適に読みやすく美しい文章






とにもかくにも、シナリオ担当海原望氏の文章が上手い。
スッと胸に入り込む表現や心理描写は美しく、先へ先へと読み進めたくなる強い魅力があります。

また、年頃の女の子の繊細な独白描写も非常に上手く、プレイヤーの心に訴えかけるかのような文章は魂に響きました。
もうね、文章が上手すぎて活字を読むモチベーションが奮い立たされたので長らく積んでる百合小説を読みたいまであります。


■完走したら皆好きになった魅力的なキャラクター

キャラクターが全員魅力的……というとありきたりな言い方になってしまうのですが、本当に全員魅力的なんです。
登場キャラ全員聡明で意志が強く、それぞれ確固たる信念を持っているので言動が見ていて気持ちがいい。

言動が悪役令嬢のようなアヴェルラ様も話が進むにつれあまりにもいい女っぷりを見せつけてくれるので、とにかくアヴェルラ様の強く気高く美しい生き様を浴びてほしい。
相当人気が高いキャラだと事前に聞いてはいましたが、わからされた。




自分は一番の単推しとして、主人公のアルエットに落ち着きました。
愚直なまでにまっすぐで、どうしてそこまでいい子でいられるのと思えるくらい優しくて、人懐っこくて、一度折れても立ち上がるような不屈の精神を持つ眩しい光属性の女の子がストライクゾーンな女の趣味なので、そりゃあ好きにならないわけがないんだよなあ!!!!

「周りの皆はアヴェルラ様やルク様を慕ってるけど、アルエットの温かい優しさを知らないなんてまだまだよね。
まあ、アルエットの良さが分かるのは私だけよ」
って驕る一般生徒モブになって、土俵に立つ事もなく失恋したい。





一方で推しカプはパヴォーネとマコー、ロビンとキャナリー。
カップリングの好みとなると、陰陽や動と静、太陽と月といった正反対系カプや身長差、体格差系カプを好きになりがちなので
委員長気質で真面目なマコーと自由奔放なパヴォーネ、野性味を感じさせるボーイッシュなロビンとほわほわおっとりしたキャナリーの組み合わせが刺さり過ぎた。


■もはや絵画か?繊細で美しいイラスト




厳格な規律に縛られた閉鎖的な学園、退廃的な世界観に大石竜子氏のイラストがあまりにもピッタリ。
幻想的で、宝石のようにキラキラした美麗な描写はまさに芸術。


■物語を読み解くノベルゲームとして、とことん親切なシステム周り




「あのシーンめちゃくちゃ良くて見返したいのに、セーブデータ残してない……」
というビジュアルノベルゲームにてありがちな問題。
エヴァーメイデンには「シーン鑑賞」というモードがあり、これまでに閲覧したシーンの一覧が事細かく表示され、再生を始めたらあの時見たシーンがそのまま再生される形で閲覧できるわけです。
セーブ管理を疎かにして見返したかったイベントを保管できずガッカリする事もなくなったので、これは本当に大助かり。




バックログから特定シーンに戻る事ができる機能もありがたい。
この機能自体はそれこそ相当前のノベルゲームから実装されているものではありますが、どのタイトルとは言わないですけど令和に出たノベルゲームですらクイックジャンプが無い事もあるんですよ……。
当たり前にあると思うなクイックジャンプ機能。




個人的に斬新だったのは、キャラクター毎にボイスのON/OFFや音量設定がある事。
過去にTwitterで「このゲームは気になるけど嫌いな声優が居るから、このキャラの声だけボイスオフにしたい」という呟きを見かけて、そういう考えもあるのかとカルチャーショックを受けた事があったのですが、そういった事情がある人にとっても安心設計ではないでしょうか。

■悪い点

褒めちぎってばかりなのもよろしくないと思うし、直してほしい点や悪い点などは記事を書く度に毎回上げていきたいところなのですが、CS版エヴァーメイデンにおいては悪い点をあげようとしても言い訳、重箱の隅をつつくくらいにしかならないなと思ったくらいには悪い点が思い浮かばなくて頭を抱えました(?)
強いて言うなら、序盤が独特の世界観の説明が多くて少々ダルいくらいかな……?と思わなくはないですが、そんなの言ってしまえば序盤の話が緩やかでダルいADVなんていくらでもありますし……。
前述のクイックジャンプ機能はPC版には無かったようなので、PC版の感想を言うとすれば絶対そこを突いていたのですが……。

■総括

最初から最後まで最高に楽しみ、クリア後も長期間余韻に浸る程の充足感を得て、人生の中で印象に強く残る作品の1つとなりました。ありがとうエヴァーメイデン。

CS版をクリアしてこれで終わりかというとそうでもなく、設定資料集とサントラを買って大いに楽しみましたし、実のところファンアートも描きたいくらいには好きです。
もっとエヴァーメイデンの世界を浴びたいから、ソフトが売れて追加シナリオ来ないかなあ……ドラマCDでもSSでもいいので。

あと、冒頭で「その綺麗な絵柄でエッチなシーンがあるというのは抵抗がある……!」と言ってましたが、CS版完走した今となっては推しカプがエッチしてるシーンが見たくてしょうがないので2周目も兼ねて今度PC版買います。手のひら返してすまん😅


<追記>
伏せったーで喚いていたネタバレしかない完走した感想。

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